『黒い時計の旅 (白水uブックス)』
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時間と空間の境界をやすやすと乗り越える瞠目すべき幻視力と読者の感覚を強烈に刺激する細部のリアリティ。スティーヴ・エリクソンの小説世界は比肩する者のない根源的な虚構の膂力をもってアメリカ文学界に屹立している。処女作『彷徨う日々』から『Xのアーチ』に至る邦訳傑作群はいずれも見事な想像力の産物だが、なかでエリクソン・ワールドの扉を開く鍵となる1作を選ぶとしたら、この『黒い時計の旅』が最適だろう。まずは、語りとして抜群に面白いからだ。ヒトラーの私設ポルノグラファーという意表をつく人物設定を軸に「もうひとつの20世紀」を構築するその手際は鮮やかというしかない。